「メディア」は日本人なら誰でも知っている言葉です。
- メディアによる報道
- メディアにデータを保存する
新聞や雑誌、テレビなどの意味で使われることもあれば、外付けHDDやUSBメモリを指すこともあります。
日頃からよく目にする「メディア」を紐解くと、元々はラテン語の「medium」に由来し、それが英語の複数形「media」に変化して、日本ではカタカナ読みの「メディア」が定着しました。
- medium(ラテン語)
↓ - medium(英語・単数形)
↓ - media(英語・複数形)
↓ - メディア
語源であるラテン語の「medium」は、「中間、中央、中心」という意味です。
英語になった「medium」は意味合いが広がり「繋ぐもの」「間にあるもの」というニュアンスを持つようになりました。
日本語には「媒体、手段、方法」などとも訳されます。
報道機関という意味での「メディア」はニュースと購読者や視聴者を繋ぐもの、記録媒体としての「メディア」はデータと筐体の間にあるものですね。
ちなみに「medium」は形容詞としても使われます。
髪の長さやステーキの焼き加減、服のサイズ表記など、短いと長い、生と加熱、小さいと大きいの間にあるものは、往々にして「medium」という表現が用いられます。
インターネットにおけるメディア
インターネットは情報の宝庫であり、その利便性から今や仕事でも私生活でも欠かせないものとなりました。
では、あなたとインターネットを繋ぐメディアはなんでしょう。
言葉の意味を考えれば、最初にパソコンやスマホが挙げられます。
これらがなければ、まずもってインターネットを使うことができません。
では、パソコンやスマホを使ってインターネットの入り口に立ちました。
次に、あなたと豊富な情報を繋ぐメディアはなんでしょう。
この場合、情報を収集したり発信したりするための手段、方法と言い換えればわかりやすいと思います。
知りたい情報があるとき、あなたはどういう手段で収集しますか?
知らせたい情報があるとき、あなたはどういう方法で発信しますか?
それは、検索エンジンもしくはソーシャルメディアではないでしょうか。
両者は共に同じ役割を果たしますが、実はそれぞれに異なる特性があります。
似て非なるもの、それが検索エンジンとソーシャルメディアです。
検索エンジン
検索エンジンは、文字通り「情報を検索する」ためのメディアです。
検索窓にキーワードを入力すると、関連性の高いサイトやキーワードに合うサイトが表示され、知りたい情報にアクセスできます。
では、この時に表示される情報とは、一体どのようなものなのでしょうか。
情報を収集する
検索エンジンを代表するGoogleを思い浮かべてください。
Googleでは、このような手順で情報を蓄積しています。
- クローリング
Googleがサイトを見つける - インデックス
Googleがサイトをデータベースに登録する - ランキング
Googleがサイトの検索順位を決める
検索順位とは── |
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検索結果として表示するときの順番を検索順位といいます。同じキーワードにヒットするサイトが複数ある場合、Googleは「独自の評価」が高いものを優先して表示します。 評価が高いということは、すなわち質が良いということです。 ただし、Googleは「独自の評価」の明確な基準をオープンにしていません。 |
Googleはクローラというロボットを使って、昼夜を問わず世界中から膨大な情報を集めています。
つまり、あなたが見ている検索結果は、Googleが集めた情報の一部なのです。
情報を発信する
では、Googleを通じて情報を発信する場合はどうでしょう。
先ほどのプロセスの視点を変えてみます。
- クローリング
Googleにサイトを見つけてもらう - インデックス
Googleにサイトをデータベースに登録してもらう - ランキング
Googleにサイトの検索順位を決めてもらう
あなたは情報を発信しますが、それが人の目に触れるかどうかはすべてGoogleに委ねられています。
データベースに登録されても検索順位が低ければ、誰一人として見ないかもしれません。
そもそもGoogleに見つけてもらわなければ、検索結果として表示されることもないのです。
検索エンジンは情報を発信するより、収集する目的で使われることが多いメディアです。
柔軟に考えれば、情報の入り口である検索エンジンそのものが、情報を発信しているひとつのサイトであることに気付くでしょう。
あなたが経験や情報を積み重ねてサイトやブログを更新しているのと同じように、検索エンジンは多くの人に利用してもらうため、データベースを構築し、検索結果に表示するサイト、すなわち発信する情報を取捨選択しているのです。
検索エンジンを通じて情報を発信することはできますが、あくまでも主体は検索エンジンです。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアは、インターネット上の「社会的な繋がり」「コミュニケーションの間にあるもの」として、誰でも手軽に情報を収集したり、発信したりすることができるメディアです。
ソーシャルメディアの分類 | ||
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ジャンル: | 目的: | 主なサービス: |
ブログ | 情報の発信 | はてなブログ、WordPress、Twitterなど |
SNS | 利用者同士の交流 | Facebook、mixi、LinkedInなど |
写真・動画共有サイト | 画像や動画の公開 | Instagram、YouTube、ニコニコ動画など |
ナレッジコミュニティ | 知識の共有 | Yahoo!知恵袋、OKWave、発言小町など |
同じジャンルでもそれぞれのサービスによって利用する性別や年齢層の比率、収益モデルなどが異なります。
また、ひとつのサービスが複数の目的を持つこともあり、分類はこの限りではありません。
見方を変えれば、目的に応じていろいろなサービスを使い分けることができます。
ソーシャルメディアの利点
ソーシャルメディアを利用するにあたり、どのサービスにも共通する利点があります。
速やかさ
ソーシャルメディアを通じて発信された情報は、すぐさま表示されます。
鮮度の高い情報を収集または発信できることが大きな特徴です。
公共的な空間
一部の会員制サービスを除き、発信された情報はいつでも、誰でも見ることができます。
東日本大震災の直後、TwitterやFacebook、mixiによる情報共有や安否確認が大きな役割を果たしたことは、日本全体が防災や危機管理を見直すきっかけになりました。
情報のリレー
ソーシャルメディアでは、情報を収集した人が、同時に発信することもできます。
日本のタレントの動画がアメリカの有名アーティストに共有され、世界的な拡散に至ったことは、記憶に新しいのではないでしょうか。
My favorite video on the internet 😂😂😂😂😂😂😂😂 https://t.co/oJOqMMyNvw
— Justin Bieber (@justinbieber) 2016年9月27日
ソーシャルメディアはそれぞれ独立していますが、サービスを提供する側がAPIを公開していることがあります。
そのおかげで、上のようにブログにTwitterのつぶやきを貼り付けたり、TwitterにYouTubeの動画を埋め込むなど、サービスの垣根を超えた情報のやり取りが盛んに行われています。
APIの概念 |
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自分の家だろうが、友人の家だろうが、パンを焼きたい時にはトースターをコンセントにつなぐ。これはどちらの家でもコンセントという標準化されたインターフェースを備えているからである。もしコンセントがなければ、人は発電所までトースターを持参してパンを焼きにいかなくてはならない。 Wikipedia:アプリケーションプログラミングインタフェース(API) |
ソーシャルメディアの不利な点
ソーシャルメディアといえども万能ではありません。
また、デメリットの根底には一貫した問題があります。
それは、一旦インターネットに流れ出た情報は完全に削除できないということです。
情報の流出
インターネット上に名前や住所、電話番号といった個人情報を公開しないことは、もはや誰もが知る常識です。
用心していても、発信する情報が今いる場所や参加しているイベントなどプライベートな内容であった場合、意図せず悪意のある人の目に留まるかもしれません。
また、画像や動画は位置情報を含んでいることがあります。
スマホなどで撮った写真を投稿する際は、そのことに気を付けなければなりません。
ソーシャルメディアは誰でも気軽に情報を発信できるため、身近なこと、生活に密着した内容が多くなりがちです。
プライベートな情報の取り扱いには注意が必要です。
デマの拡散
ソーシャルメディアはデマと親和性が高いと言われています。
情報が確かであるという保証はどこにもありません。
また、広がりが早いので、間違った情報が一気に拡散するおそれもあります。
収集する際には情報を鵜呑みにしない、発信する際には情報に責任を持つという心構えが求められます。
炎上
ソーシャルメディアを通じて発信される情報の中には、誤解や偏見に基づくものもあります。
小さい火種が瞬く間に拡散し、非難や批判、誹謗中傷を伴って大きく燃え上がることもあります。
火種はあなたが発信する情報だけとは限りません。
あなたと誰かのコミュニケーションもまた立派な情報であることから、危険はどこにでも潜んでいます。
ソーシャルメディアを通じて情報を発信することは、良くも悪くもあなたが主体なのです。
検索エンジンとソーシャルメディアの併用
検索エンジンとソーシャルメディアは、ともに情報を収集したり、発信したりすることができます。
しかしながら、それぞれに特性が異なります。
データベースは、検索エンジンとソーシャルメディアで必ずしも一致しません。
インターネット上には検索エンジンにしかない情報、またはソーシャルメディアにしかない情報が存在します。
メディアを使いこなすのはあなたです。
両方の特性をよく理解したうえで、知りたい情報、知らせたい情報と照らし合わせて上手に活用しましょう。