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入校式の一日(前編)

今日は午前中に訓練校の入校式がありました。

最近は夜中に睡眠が中断されると、そこから眠れなくなることがあります。
昨夜も3時すぎに目が覚めてから、朝までずっと起きていました。

訓練校は毎朝9時から授業が始まり、入校式の日も例外ではありません。
久しぶりの通勤ラッシュに打ちのめされたこともあり、大切な一日なのに大あくびの連続でした。

家を出て少しすると筆記具一式を忘れたことに気づきましたが、取りに帰る時間はありません。
仕方なく途中のコンビニで買いました。

入校式

学校に着いたら、まずは教室へ。

入試の時はビジネスカジュアルとも言えないような軽装でしたが、さすがに入校式なのでスーツで臨みました。
ところが、他の訓練生は半数以上がパーカーにジーンズのような普段着です。

試験でお会いしたときは面接用の猫をかぶっていたのですね。
心の中でふふっと笑ってしまいました。

他の訓練生たちをぼんやり眺めながら過ごしていると、担任の先生が入ってきました。
訓練生たちの提出書類を回収した後、これから私たちが過ごす半年間についての訓示が始まります。

訓練生の心がまえ

先生が言わんとするのは、この学びの場は「学校」ではなく「訓練校」であるということ。

一般的な学校と訓練校の違い

広い意味では訓練校も学校なのですが、大まかな違いはこのようなことです。

管轄の行政機関と目的

学校

管轄:文科省
目的:児童や生徒を教え育む

訓練校

管轄:厚労省
目的:就職に必要な知識や技術を学ぶ

学校教育は、教育の振興を柱のひとつに掲げる文科省が担当です。
職業訓練は、労働や雇用を束ねる厚労省が実施しています。

さて、先生の話はここからが本題です。

主体の違い

学校

親が子どもを学ばせる場所

訓練校

あなたが自主的に学ぶ場所

この違いがわかりますでしょうか。

国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
第4条 (義務教育) :文部科学省

子どもは学校で学びますが、それは本人の意思に関わらず親や大人、国が学ばせているからです。

一方、あなたは自ら訓練校で学ぶことを決めました。
これは、一種の自己啓発とも言えます。
だから、最後まで主体性を維持して授業や課題に取り組んでくださいねということです。

訓練生のゴール

また、訓練校において卒業は目標ではありません。
仕事に活かせる技能や資格を身に付けつつ、その間に就活にも精を出し、さっさと再就職しなさいという結論でした。

この話は学校見学会の時にも聞いたような──やはり、大人の事情が垣間見えます。

卒業を迎える半年後には、訓練生が半数もしくはそれ以下になっているそうです。
確かに、見学会の時に授業中の教室を見せてもらいましたが、空いている席が目立ちました。
実際のところ、今回の入試に合格したものの、すでに入校を辞退した人がいるとか。

辞退した人は入試と並行して就活もしていたのでしょう。
失業給付の日数は決まっていますが、訓練中は延長されるので、保険として受験したことが想像できます。
いわば滑り止めのようなものですね。
今、この教室にいる訓練生の中にも、半年後を見越してお尻に火が点いている人もいることでしょう。

結果発表から今日までの間に就職先が決まったのであれば、本人はもちろん、訓練校にとっても願ったり叶ったりのようです。
学校側に訓練生を失ったという未練は少しも感じられません。

私たちの意識を半年後の卒業ではなく、一刻も早い再就職に向けさせたいという気迫が感じられました。

自由と責任、権利と義務

先生によるおよそ30分間の独演でしたが、いろいろなことが凝縮されていたように思います。
ある意味、これから半年間の身の処し方がわかったような気がしました。

自由と責任

先生の話は時間を守ること、挨拶をすることなど、社会人として当たり前のことにも及びます。
無断で休んだり遅刻するのはもってのほか、自分勝手な「自由」は他の訓練生に迷惑をかけると。
担任や講師、職員へのタメ口もいけません。

つまりは、訓練校を職場と同じように考え、授業中はもちろんのこと、訓練校で過ごす時間はすべて就職後のトレーニングと認識すべしです。

権利と義務

また、私たち訓練生が与えられた学びの機会は権利ですが、国民の税金で賄われています。
学ぶという権利の恩恵に預かったのであれば、その裏には制度の趣旨である「再就職」という義務が生じます。

うーん、おっしゃることはわかりますし、私たちは就職を視野に入れてここに来たわけですが、やはり「再就職」に含みを感じます。
よく見れば、先生の名札には名前の下に株式会社の法人名が。

ふむ、この瞬間になんとなくカラクリを見た気がしました。
今時は看板が公立でも実態は民間委託なんてよくあることです。
不確かなのでリンクはしませんが「公共職業訓練 委託金」の検索結果に、私が根拠とした資料があります。

税金すらきちんと払っていない身がおこがましいことを承知で──
私は個人的に委託であろうとも、内容と金額が妥当であるなら否定はしません。
公共サービスといえども、一定の質を維持しながらサービスを継続していくためには経費が必要です。

という辺りで、入校式を行う講堂へ移動する時間となりました。

この先は後編にて。

そういえば、今朝は雨と知らずに出掛けて、電車を降りてから学校の最寄りのコンビニで傘も買う羽目に。
そういえば、入試の日も雨でしたね。

最終更新日:2017年4月12日