記事のタイトルを見ただけで、ピンとくる方はどれほどいるでしょうか。
仕事を辞めてまず一番に、節約を兼ねて眼鏡を買いました。
次にしたことが、ゴムフロート玉の交換です。
そんなことを言われても、以前の私でしたら、なんのことだかさっぱりわかりません。
おかげさまで、今はつぶさに説明することができます。
トイレのトラブル
トイレで困る代表的な例は───
- つまり
- 水が流れない、水が止まらない
- 水漏れ
この3つに大別されます。
1. 「つまり」は、便器や排水管の中に水溶性ではない異物が残っている場合です。
スマホやボールペンなど、本来はトイレに流さないものを便器に落としてしまい、そのまま水を流した時に「つまり」が起こります。
2. 「水が流れない、水が止まらない」は、言葉の通り、水を流そうとしても流れない、もしくは流した水がいつまでも止まらない場合です。
3. 「水漏れ」はいろいろなパターンがあります。
トイレはキッチンやお風呂場といった他の水回りと同じように、建物の外から水が入り、出ていく場所です。
その道筋となる給水管や排水管そのものに問題があったり、管と便器のつなぎ目や、便器自体のパーツのつなぎ目などから水が漏れる場合です。
トイレの水が流れない
昨年の秋のとある日、突然トイレの水が流れなくなりました。
用を足して水を流すハンドルを回したのですが、いつものような手応えがなく、便器はうんともすんとも言いません。
タンクを開けてみました。
便器に水が流れるしくみ
タンクの中はこのようになっています。
図はこちらからお借りしました。
使用前のタンクは、水で満たされています。
水を流すためのハンドルは、タンクを横切る短い棒と繋がっています。
棒の先には細い鎖が付いており、鎖の終着点はタンクの底のフロートゴム玉です。
フロートゴム玉は、タンクから便器に水が流れる出口で蓋の役目を担っています。
ハンドルを回すことにより鎖が引っ張られ、必然的にフロートゴム玉が持ち上がります。
すると、蓋が開いた状態になり、タンクから便器に勢いよく水が流れ込むのです。
小学生でも理解できるいたってシンプルなしくみです。
タンクを開けてみたところ、ハンドルは棒に繋がり、先には鎖が見えます。
ここまでは問題ありません。
次に、鎖を持って引っ張ると、そのままするすると水面に出てきてしまいました。
つまり、出口の蓋を持ち上げるための鎖が、蓋であるところのフロートゴム玉と繋がっていないのです。
原因はこれでした。
蓋が開かなければ、水は流れません。
ハンドルを回した時の手応えは、言うなれば、竿にかかった魚を釣り上げる時の感触です。
竿の糸の先に魚がいなければ、手応えがないのは当然でしょう。
フロートゴム玉をよく見ると、鎖を止めておく箇所が千切れていました。
建物の築年数は私の年齢とほぼ同じです。
設備の経年劣化は致し方ありません。
今まで便器を取り替えたことがないので、フロートゴム玉は天寿を全うしたと思われます。
応急処置
この場合、フロートゴム玉と鎖を繋いでハンドルを回せば、便器に水が流れるわけです。
夜中でしたが、眠い目をこすって、安全ピンをどうにかフロートゴム玉に突き刺して貫通させ、鎖を結んで水が流れるようにしました。
結果として、この処置はあくまでも応急です。
その後しばらくして、四六時中、水に浸かっていた安全ピンは、朽ちて役に立たなくなりました。
フロートゴム玉の交換
フロートゴム玉と鎖を安全ピンで繋ぎ、その後は普通にトイレを使っていました。
2ヶ月ぐらい経ったでしょうか。
再びハンドルを回した時の手応えがなく、便器に水が流れません。
前と同じように、タンクを開けてみます。
フロートゴム玉と鎖を繋いでいた安全ピンは見事に錆びて、その役目を終えていました。
それもそのはず、安全ピンはクロームメッキ、つまりは鉄製なので、長期間の水中での使用には耐えられません。
その時から仕事を辞めるまでの数ヶ月、日本では真冬と呼ばれる一番寒い時期に、トイレへ行くたびに袖をまくり上げ、タンクの冷たい水の中に肘まで片腕を差し入れ、自らの手でフロートゴム玉を引っ張り上げるという毎日でした。
ただでさえそう明るくはない、しかも狭いトイレでは、私が覆いかぶさるとタンクの中はなおさら暗くなり、細かい作業をするには手元がおぼつきません。
苦労して代わりの安全ピンを付けても、しばらくしたらまた同じことの繰り返しです。
この上なく不便ですが、暖かくなるまで冷たい水を我慢するしかないと諦めていました。
フロートゴム玉にはタイプとサイズがあります
仕事を辞め、時間と眼鏡を手に入れた私は、次に日頃の気掛かりであったトイレをどうにかしようと決めました。
調べたところ、フロートゴム玉は自分で交換できるらしく、ハローワークの帰りにホームセンターへ足を運び、売り場に直行します。
確かにフロートゴム玉が並んでいました。
しかも、ひとつではありません。
いくつかのタイプ、各々に大小があることは先に調べてありました。
実際のところ、タイプの違いがわかりにくかったり、大小の差は1センチほどなので、いざ現物を前にすると、どれが自宅のフロートゴム玉なのか見分けがつきません。
意を決して赴きましたが、この時は判断しかねて、結局なにも買わずに帰りました。
翌日、トイレのタンクからフロートゴム玉を取り外し、それを手に勇んでホームセンターを再訪したのは言うまでもありません。
目当てのタイプと大きさを手に入れ、脇目も振らず自宅に戻り、意気込んで取り付けます。
と言っても、元々あった場所に、新しいフロートゴム玉を差し込むだけです。
単純な作業は5分もかからず、あっという間に終わりました。
これでトイレの水が流れないという切実な悩みから解放されたのです。
経済的に見たフロートゴム玉の交換
もし、あなたの自宅や職場でトイレの水が流れなくなったとしても、原因がフロートゴム玉であれば、応急処置を含め、上記のように簡単に修理することができます。
でも、やり方を知らなければ、水道屋さんに電話をかけるでしょう。
フロートゴム玉の交換を依頼した場合、サンプルとした業者さんでは、
- 出張料 1,000円
- 施工費 4,000円
最低でも5,000円の出費です。
もしかしたら、別に部品代を請求されるかもしれません。
別の業者さんは、
- 作業料金 8,000円
- 材料費 別途
最終的に、1万円近くかかるでしょう。
私の出費は、ホームセンターでフロートゴム玉を購入した際の760円(税別)だけでした。
貧しい私は汎用品を買い求めましたが、お金に余裕があったならば、安心を得るためにメーカーの純正品を選んだでしょう。
それでも、1,000円ちょっとで済みます。
この記事では便宜上「フロートゴム玉」としていますが、「フロートバルブ」と呼ばれたり「ゴムフロート」のこともあります。
欧米では「フラッパー」といって、玉ではなく円盤状のものもあるようです。
いずれにしても「タンクの中のゴム製品」もしくは「フラッシュバルブの栓」と言えば、お店の人に伝わるはずです。
売り場は、水栓と同じコーナーです。
経済性を求めるのであれば、ご自分で交換されることを大いにおすすめします。